校長室より(19)自ら学び取る子どもを育てる(その2)
- 公開日
- 2022/01/25
- 更新日
- 2022/01/25
学校から
前回、モデルとなる子どもを重点的に育てる、モデルとなる子どもをより多く、より高く育て学級の質を上げることで、困っている子どもが参加・活動しやすくなることを指摘しました。
これまで参観してきた多くの学校・学級では、逆に、困っている子どもの指導から始めていました。このことには、少なくとも3つの問題が指摘されます。
【その1】学力の高い子どもに足踏みをさせている
困っている子どもの指導に人手と時間をかけると、学力の高い子どもは待たされることになります。スキルが高く、行動も変化しやすい子どもは、学びによって大きく伸びます。授業において、そのチャンスが十分あるのでしょうか。
さらに深刻な場合には、学級崩壊につながります(真面目にやっているよい子も、放っておかれれば、やってられないよと言い出すわけです)。
【その2】困っている子どもの自ら学ぶ機会が少ない
困っている子どもの指導に人手と時間をかけ、教師の教えたことを着実に学習させる。これは、「手取り足取りの100点」で学校に求められていることではありません。
一歩リードしている子ども、半歩リードしている子どもをモデルに学ぶことは、「自ら学び取る10点」につながり、自ら学び取る姿につながることが期待されます。
【その3】子ども同士のかかわりが少ない
質の高い学級では、子ども同士の助け合い(ピアサポート)や子ども同士のけん制(ピアプレッシャー)が見られます。サポートやプレッシャーをとおして、モデルとなる子どもは、自己有用感を高め、助け合うスキルをさらに高めます。困っている子どもは、居心地の良い学級生活をとおして所属感を高めます。
サポートする/される、プレッシャーを与える/受ける関係は、活動の得意不得意や習熟度、経験値などにより、必ずしも固定されず、しばしば逆転します。
これが「対話的な学び」を支えます。いろいろな人と力を合わせて課題を解決する(協働)する礎となります。
子ども同士のかかわりを育むために、指導の手順、戦略を大切にしましょう。